ナレッジルーム

ゲーム分析ソフト導入記

 

ゲーム分析をするとは?

先日、JISSではDiTsワークショップを行いました。スポーツの現場でのサポート活動に必要な、ITスキルの獲得を目指した実践的な講座です。その中でお話しした内容として、ゲーム分析があります。ゲーム分析とは、大会や試合での選手やチームのプレー、成績などの要素を洗い出し、試合内容や成績状況を数値的に分析することです。この分析に利用する要素をスタッツと呼びます。スポーツごと、あるいは各チームごとに重点におく分析の項目は異なり、その数だけ分析方法、そしてそれに必要なスタッツがあります。

DiTsワークショップではスタッツの元となるタグ付け(=特定の時間に対し、起きたイベントを情報として記録する。この情報を整理してスタッツになる)をデジタル的に行う方法を主に紹介し、フリーソフトで試合映像へのタグ付けなど、ゲーム分析の導入に触れました。

 

スタッツを出して分析することを行っているチームも多いと思いますが、人手や環境の関係でなかなかそこまで手が回らないチームもあります。たとえばシュート数などの記録を、人の手で試合中に行うとなると手間もかかり、そもそも人手も足りないかもしれません。また、紙資料を用いてゲーム分析するのは分かりやすさの反面、煩わしさもあります。デジタル的にゲーム分析をしようとソフトを導入したくても、操作を覚える難しさやコスト面の問題もあります。しかし、上記でも触れたように、今はフリーのソフトもあり、操作も難しくありません。

DiTsワークショップを通じて、フリーソフトを利用してのゲーム分析に興味を持ち、今回こういった分析を取り入れたいというチームがありましたので、お話を伺いました。

 

女子アイスホッケーチームでの試み

 

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SEIBUプリンセスラビッツコーチ 近藤さん

お話を伺ったのは、女子アイスホッケーのクラブチーム、SEIBUプリンセスラビッツの近藤さんです。近藤さんは、自身が現役時代に日本代表として活躍していた経験を活かし、現在はコーチとして、チームに携わっています。

 

チームでは今まで、映像を撮影していましたが、そこまで選手たちへのフィードバックに使用していなかったそうで、ゲームのスタッツも手で記録していました。その日出場しない選手が交代で記録を行い、試合を見ながら、シュート数とフェイスオフ(※1)時のパックキープ数をカウントします。フィードバックも、映像は使用せずに、コーチングボードで、ポジションの反省をしていました。コーチングボードを使用してのフィードバックでも、もちろんプレーの振り返りができますが、伝えきれない点もあったり、本人がその時のプレーを覚えているかに左右されることがあります。

 

ゲーム分析ソフトの導入

そこでフリーソフトのLongoMatchを使用し、PP(パワープレー※2)、PK(キルプレー※3)のタグ付け、フェイスオフ時のゾーン別パック支配率やキーパーのセーブ数をスタッツとして出しました。PP、PKのタグ付けにより、シーンの抽出が可能になり、その中でも良かったプレー悪かったプレーを即座に見直すことができます。パックの支配率やキーパーのセーブ数は攻撃時、守備時それぞれに繋がるプレーの洗い出しができ、同時に自分達の弱点が見つかりやすくなりました。

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LongoMatchでのスタッツ収集

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選手への分析結果のフィードバック

試合を振り返って、良い点悪い点を反省するのは言うまでもなく大事なことですが、試合後に言われたことを全て理解するのは意外に難しいことです。映像はもちろんのこと、試合内容を数値にして見せることで、選手としては“何がいけなかったのか”“何を強化したら自分が強くなれるのか”が分かりやすく、今までよりもモチベーションに繋がりやすくなったそうです。また、映像を見ながら反省することで、プレーした本人はもちろんのこと、周りの選手にとっても、「あ、この場面ではこう動くのがいいのか」とプレーの参考になり、結果として選手全体の意識の向上が期待できるとのことでした。

 

今後はさらにエリア別のフェイスオフ時の分析を行い、選手ごとのクセを洗い出していくことも考えているそうです。エリアごとの得意不得意を選手全員で共有することで、フォローの入り方も変わってくるのではないかと分析されていました。また、今回選手からは新たな要望も挙がってきました。キーパーの選手から、シュートを受ける時のポジションや構え方などの動作分析を見たいとの声があり、今後の新しい検討課題にするそうです。

 

今回、初めて映像でのフィードバックや簡単な分析結果を選手に見せましたが、選手の意識が変わるきっかけになりそうと近藤さんはお話しされていました。もちろん分析は短期間で結果が出るものではありません。今後も続けていきながら長期的なスパンで分析を行っていくことが必要になります。意識が変わり、自分からトレーニングの方法を考えていくことができれば、飛躍的に強くなっていくと期待しています。

 

※1.試合の開始時や再開時に行なわれ、対峙する両チームの選手2人の中間に、審判がパックを投入しそれを奪い合うプレー

※2.相手側に退場選手が出て人数的有利な状態でのプレー

※3.自陣側に退場選手が出て人数的不利な状態でのプレー

 

分析ソフトのススメ

アイスホッケーのプロチームや海外のチームでは、分析ソフトを使用しているところも多いようです。DartfishやStevaといったゲーム分析ソフトを利用していたり、国際試合やプロの試合では、大会側が選手の走行距離などのスタッツを提供する場合もあります。スタッツがある場合は、提供された情報での分析が可能です。しかし、クラブチームなどではスタッツは自分で調べるしかありません。なかなか、国際試合やプロで提供されるようには思うような情報が集められない場合もあります。さらに、コスト的にソフトの導入が難しい場合、アナログでの分析となりますが、フィードバック用の素材として作り上げるには時間がかかってしまうこともあります。そのような時に、LongoMatchなどのフリーソフトを代替として、デジタル的な分析に用いることが有用になります。コストはもちろん抑えられますし、ソフトを使用することで情報収集の時間の短縮につながります。LongoMatchはフリーソフトではありますが、タグ付けやスタッツの記録、シーン集の作成など、基本的な機能が揃っています。タグの付け方次第で、選手ごと、プレーの特徴ごとのシーン集を作成でき、問題点別に試合を振り返ることができます。反省はもちろん、良いシーンはモチベーションにも繋げることができます。

プロレベルとまではいきませんが、それに近い分析はできるのではないでしょうか。

 

ゲーム分析は1試合の分析を行うだけではありません。分析結果や、それに伴うスタッツを増やしていき、試合ごとの比較や、試合会場の分析などにも応用できます。

スタッツは集めれば集めるだけ分析に役立ちますし、蓄積されていくものです。ただ、アナログでの膨大な資料は管理も難しく、各資料間での連携や整合性がとりづらい欠点がありますが、デジタル的なデータがあればそれらの欠点を解消することができます。さらに、貯まったスタッツを別の視点で分析したい時などスタッツを再利用する時には、抽出や並べ替えも楽で、よりデジタルの強みを発揮します。

様々なシーンで重要になってくるゲーム分析。分析に興味ある方、まだ取り入れたことがない方は、まずはフリーソフトに触れてみてはいかがでしょうか?

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ゲーム分析ソフト導入記

 

ゲーム分析をするとは?

先日、JISSではDiTsワークショップを行いました。スポーツの現場でのサポート活動に必要な、ITスキルの獲得を目指した実践的な講座です。その中でお話しした内容として、ゲーム分析があります。ゲーム分析とは、大会や試合での選手やチームのプレー、成績などの要素を洗い出し、試合内容や成績状況を数値的に分析することです。この分析に利用する要素をスタッツと呼びます。スポーツごと、あるいは各チームごとに重点におく分析の項目は異なり、その数だけ分析方法、そしてそれに必要なスタッツがあります。

DiTsワークショップではスタッツの元となるタグ付け(=特定の時間に対し、起きたイベントを情報として記録する。この情報を整理してスタッツになる)をデジタル的に行う方法を主に紹介し、フリーソフトで試合映像へのタグ付けなど、ゲーム分析の導入に触れました。

 

スタッツを出して分析することを行っているチームも多いと思いますが、人手や環境の関係でなかなかそこまで手が回らないチームもあります。たとえばシュート数などの記録を、人の手で試合中に行うとなると手間もかかり、そもそも人手も足りないかもしれません。また、紙資料を用いてゲーム分析するのは分かりやすさの反面、煩わしさもあります。デジタル的にゲーム分析をしようとソフトを導入したくても、操作を覚える難しさやコスト面の問題もあります。しかし、上記でも触れたように、今はフリーのソフトもあり、操作も難しくありません。

DiTsワークショップを通じて、フリーソフトを利用してのゲーム分析に興味を持ち、今回こういった分析を取り入れたいというチームがありましたので、お話を伺いました。

 

女子アイスホッケーチームでの試み

 

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SEIBUプリンセスラビッツコーチ 近藤さん

お話を伺ったのは、女子アイスホッケーのクラブチーム、SEIBUプリンセスラビッツの近藤さんです。近藤さんは、自身が現役時代に日本代表として活躍していた経験を活かし、現在はコーチとして、チームに携わっています。

 

チームでは今まで、映像を撮影していましたが、そこまで選手たちへのフィードバックに使用していなかったそうで、ゲームのスタッツも手で記録していました。その日出場しない選手が交代で記録を行い、試合を見ながら、シュート数とフェイスオフ(※1)時のパックキープ数をカウントします。フィードバックも、映像は使用せずに、コーチングボードで、ポジションの反省をしていました。コーチングボードを使用してのフィードバックでも、もちろんプレーの振り返りができますが、伝えきれない点もあったり、本人がその時のプレーを覚えているかに左右されることがあります。

 

ゲーム分析ソフトの導入

そこでフリーソフトのLongoMatchを使用し、PP(パワープレー※2)、PK(キルプレー※3)のタグ付け、フェイスオフ時のゾーン別パック支配率やキーパーのセーブ数をスタッツとして出しました。PP、PKのタグ付けにより、シーンの抽出が可能になり、その中でも良かったプレー悪かったプレーを即座に見直すことができます。パックの支配率やキーパーのセーブ数は攻撃時、守備時それぞれに繋がるプレーの洗い出しができ、同時に自分達の弱点が見つかりやすくなりました。

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LongoMatchでのスタッツ収集

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選手への分析結果のフィードバック

試合を振り返って、良い点悪い点を反省するのは言うまでもなく大事なことですが、試合後に言われたことを全て理解するのは意外に難しいことです。映像はもちろんのこと、試合内容を数値にして見せることで、選手としては“何がいけなかったのか”“何を強化したら自分が強くなれるのか”が分かりやすく、今までよりもモチベーションに繋がりやすくなったそうです。また、映像を見ながら反省することで、プレーした本人はもちろんのこと、周りの選手にとっても、「あ、この場面ではこう動くのがいいのか」とプレーの参考になり、結果として選手全体の意識の向上が期待できるとのことでした。

 

今後はさらにエリア別のフェイスオフ時の分析を行い、選手ごとのクセを洗い出していくことも考えているそうです。エリアごとの得意不得意を選手全員で共有することで、フォローの入り方も変わってくるのではないかと分析されていました。また、今回選手からは新たな要望も挙がってきました。キーパーの選手から、シュートを受ける時のポジションや構え方などの動作分析を見たいとの声があり、今後の新しい検討課題にするそうです。

 

今回、初めて映像でのフィードバックや簡単な分析結果を選手に見せましたが、選手の意識が変わるきっかけになりそうと近藤さんはお話しされていました。もちろん分析は短期間で結果が出るものではありません。今後も続けていきながら長期的なスパンで分析を行っていくことが必要になります。意識が変わり、自分からトレーニングの方法を考えていくことができれば、飛躍的に強くなっていくと期待しています。

 

※1.試合の開始時や再開時に行なわれ、対峙する両チームの選手2人の中間に、審判がパックを投入しそれを奪い合うプレー

※2.相手側に退場選手が出て人数的有利な状態でのプレー

※3.自陣側に退場選手が出て人数的不利な状態でのプレー

 

分析ソフトのススメ

アイスホッケーのプロチームや海外のチームでは、分析ソフトを使用しているところも多いようです。DartfishやStevaといったゲーム分析ソフトを利用していたり、国際試合やプロの試合では、大会側が選手の走行距離などのスタッツを提供する場合もあります。スタッツがある場合は、提供された情報での分析が可能です。しかし、クラブチームなどではスタッツは自分で調べるしかありません。なかなか、国際試合やプロで提供されるようには思うような情報が集められない場合もあります。さらに、コスト的にソフトの導入が難しい場合、アナログでの分析となりますが、フィードバック用の素材として作り上げるには時間がかかってしまうこともあります。そのような時に、LongoMatchなどのフリーソフトを代替として、デジタル的な分析に用いることが有用になります。コストはもちろん抑えられますし、ソフトを使用することで情報収集の時間の短縮につながります。LongoMatchはフリーソフトではありますが、タグ付けやスタッツの記録、シーン集の作成など、基本的な機能が揃っています。タグの付け方次第で、選手ごと、プレーの特徴ごとのシーン集を作成でき、問題点別に試合を振り返ることができます。反省はもちろん、良いシーンはモチベーションにも繋げることができます。

プロレベルとまではいきませんが、それに近い分析はできるのではないでしょうか。

 

ゲーム分析は1試合の分析を行うだけではありません。分析結果や、それに伴うスタッツを増やしていき、試合ごとの比較や、試合会場の分析などにも応用できます。

スタッツは集めれば集めるだけ分析に役立ちますし、蓄積されていくものです。ただ、アナログでの膨大な資料は管理も難しく、各資料間での連携や整合性がとりづらい欠点がありますが、デジタル的なデータがあればそれらの欠点を解消することができます。さらに、貯まったスタッツを別の視点で分析したい時などスタッツを再利用する時には、抽出や並べ替えも楽で、よりデジタルの強みを発揮します。

様々なシーンで重要になってくるゲーム分析。分析に興味ある方、まだ取り入れたことがない方は、まずはフリーソフトに触れてみてはいかがでしょうか?

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