ナレッジルーム

タグ付けできるビデオカメラの実力はいかに?

 

ゲーム分析の実情

8月下旬、 スポーツ科学における映像分析に対応したビデオカメラとして、JVCケンウッドから「スポーツコーチングカム(GC-LJ25B)」が発売されました。複数方向から同時にハイスピード撮影できる特徴を活かし、選手の動作解析用として福岡ソフトバンクホークスがスポーツコーチングカム(GC-LJ20B 株式会社スポーツセンシング社製)を導入すると2015年1月に報道されています。(参考:工藤ソフトB連覇へマル秘カメラ導入

映像分析はもはやスポーツ科学にとって切り離すことのできない重要な要素になっていますね。

 

注)スポーツコーチングカムは株式会社スポーツセンシング(GC-LJ20B)、JVCケンウッド(GC-LJ25B)両社から発売されています。

 

さて、スポーツ科学における映像分析には、動作分析のほかに、ゲーム分析もあります。ゲーム分析は試合での選手やチームのプレーをイベントとして記録し、試合内容や成績状況を数値的に分析することです。通常1試合すべてを撮影し、イベントごとに説明する情報(タグ)を映像ファイルと紐付けて記録します。つまり、ひとつのタグのなかにイベントの説明と映像中の時間をまとめて記録します。このようにタグのなかに映像中の時間を含めて記録しておけば、タグをもとに必要なシーンをすぐに検索・抽出できますし、ゴールシーン集などのプレイリストも簡単に作成できます。しかし、長時間撮影した映像を見ながらイベントごとにタグ付けしていく作業は想像以上に時間がかかりますし、この作業が終わらないと、本来の目的のゲーム分析に進めません。

 

こんなとき、“撮影中に”タグを付けておくことができれば、大幅な時間短縮が期待できます。“撮影中に”タグ付けする方法として、手作業で紙に記録したり、何かツールを利用して記録しておくことが考えられます。しかし、このような方法で記録したタグの時間情報は、映像中の時間と正確に合っているわけではありません。タグをもとに必要なシーンを検索・抽出したいときには、映像中の時間とタグの時間情報を同期させる作業が必要になってしまいます。

“撮影中に”かつ“映像と同期して”タグ付けできれば一番効率がいいですよね。

スポーツコーチングカムでできること

ここでスポーツコーチングカムの登場です。スポーツコーチングカムには“撮影中に”かつ、“映像と同期して”タグ付けできる「タギング機能」がついています。同期作業は必要なく、撮影しながらタグ付けし、撮影後すぐに見たいシーンを探し出すことができます。作業時間が短縮できる分、本来の目的であるゲーム分析に多くの時間を費やすことができます。ビデオカメラで、このタギング機能がある機種は現在のところ、スポーツコーチングカムのみではないでしょうか。

 

もちろん、スポーツコーチングカムにはハイスピード撮影機能もついてますし、他機種にはない特徴として、ハイスピード撮影中のズーム切替やシャッタースピードの変更ができたり、オプションの独自無線システムを利用して複数台のカメラを一括操作することも可能ですが、ここでは、スポーツコーチングカムのタギング機能にフォーカスし、この機能がどのくらい使えるのか、その実力を紹介・検証していきたいと思います。

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コーチングカム本体1

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コーチングカム本体2

なお、ここで検証する機種は都合上、ロジカルプロダクトから発売されている「スポーツコーチングカム(GC-LJ20B)」になります。両製品はブランド名と型番が異なるのみで、製品内容は全く同一のものであるとのことです。

タギング機能の仕組み

タギング機能を使用すると、カメラ側でSDカード内に映像ファイルとは別に、同じファイル名で拡張子が「TAG」のCSV形式ファイルが生成されます。タグ付けすると、イベントの説明と映像中の時間がひとつのタグとして、このTAGファイルに記録されていきます。対応アプリケーションを使用することで、撮影後にタグを利用した映像再生ができ、見たいシーンを素早く検索できます。

タギングの方法

撮影中にタギングする方法として、一番簡単なのがビデオカメラ本体からタギングすることです。録画を開始するとモニターの左下に「TAG」ボタンが表示されますので、タグを付けたい場面でこのボタンを押下します。これだけで簡単にタギングできます。

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録画中のカメラモニター

カメラ本体からのタギングは簡単ですが、タグのなかに時間情報が記録されるだけで、イベントの説明を含めることができません。選手名やプレー内容など、タグのなかにイベントの説明を付けたいときには、Windows, Mac, iOSのいずれかのアプリケーションをカメラ本体に接続し、アプリケーション上からイベントの説明を設定したタグを付けます。

 

ここでは、Windowsアプリケーション(Ver.1.0.2)を使用して実際にタギングしてみました。まずカメラとの接続ですが、注意点として、カメラ本体において撮影速度を通常の60fpsに設定しておくことが重要です。ハイスピード撮影に設定しておくとメニュー画面にWLANのアイコンが表示されません。私はこれにかなり惑わされました。取扱説明書をきちんと読んでおけば問題ないのですが……。 WLANを画面タッチで選択し、続いてダイレクト接続を選択するとSSIDとパスワードが表示されますので、Windowsパソコン側で無線LANの設定を行えば接続できます。このアプリケーションではタグの詳細設定とタギングのほか、録画/停止や撮影速度、フォーカス、シャッタースピード、LEDライトの設定を行うことができます。接続するときは60fpsに設定しておく必要がありますが、接続後に最高の600fpsに設定することも可能です(600fpsの場合、解像度は320×176になります)。

 

タギングはイベントタギング、得点タギング、任意タギングの3種類のモードが用意されています。イベントタギングモードでは1×2の2個から、4×2、9×2、16×2、そして25×2の50個まで、5パターンのタグ表示形式が用意されていて、ひとつのタグに対して、[タグ名][PreRoll(秒)][Duration(秒)][Color][Category01][Category02][Category03][Category04][Category05]が設定できます。PreRollはタグボタンを押下したときから何秒前の映像を使用するか、DurationはPreRollから何秒間の映像を使用するかということです。Colorはアプリケーション上のタグボタンの色です。Category01~05は任意で16文字までの文字列を設定できます。設定が終われば、あとは録画しながら、作成したタグボタンをイベントごとにクリックするだけです。

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イベントタギングモード

対戦型競技のゲーム分析等、得点が絡むタギングには、得点タギングモードが有効です。得点タグが4個、通常タグ8個がチームごとに用意されています。得点タグは何点プラスするかの設定ができ、得点タグをクリックすると、設定した点数がプラスされたあとの両チームの得点が”xx-xx”のように[Category01]フィールドに記録されます。バスケットボールやラグビーなど得点タイプが複数ある場合に4個の得点タグを使い分けると、効率的にタギングできます。得点タグに設定できる点数は[+1]~[+7]、[+10]、[+15]になります。

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得点タギングモード

任意タギングモードでは、タグの設定が入力/変更できる状態で自由に文字列を入力し、タグを付けることができます。試合会場に関する情報、天気、周囲環境など、複数回タギングする必要がない情報を記録しておきたい場合に有用です。

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任意タギングモード

録画・タギング後に、画面左中央の[ストレージ]タブをクリックすると、スポーツコーチングカムに挿入されているSDカードに保存されたタグのリストを一覧表示できます。リストからタグを選択し、[タグ動画保存]ボタンをクリックすると、そのタグに該当する映像部分を切り出してパソコン上に保存できます。録画後、必要なシーンだけをサッと切り出して保存することが可能です。

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[ストレージ]タブでのタグリスト表示

iOSアプリケーション(Ver.1.0.5) を使用してiPadからのタギングも行ってみました。使い方はWindowsアプリケーションとほぼ同じです。iOS側でWi-Fiの設定を行えばダイレクトに接続でき、録画/停止や撮影速度、シャッタースピード、LEDライトの設定変更を行うことができます。フォーカスは設定変更することができません。タギングに関しては、設定項目が若干異なります。Windowsアプリケーションでは[PreRoll(秒)][Duration(秒)]がタグごとに設定できましたが、iOSアプリケーションでは一括設定のみになります。また、タギングのモードは9×2、4×2のモードとスコアモード、経過時間モードが用意されています。

 

9×2、4×2のモードがWindowsアプリケーションでいうイベントタギングモードになります。ただし、こちらではひとつのタグに対して設定できる項目は、[タグ名][Category01][Category02][Category03]までとなります。少し減りますね。

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タグボタン設定画面

スコアモードがWindowsアプリケーションでいう得点タギングモードになります。こちらは得点タグの加点数が自由に設定できない代わりに、汎用、野球、ラグビー、テニスの4つのタイプがメニューから選択できるようになっています。どのタイプも通常タグは3つですが、得点タグの数と加点数が異なります。汎用タイプは+1と+2の2つ、野球タイプは+1~+4の4つ、ラグビータイプは+2、+3、+5の3つ、テニスタイプは15、30、40の3つとなっています。 得点タグは両チームの得点が[Category01][Category02]にそれぞれ記録されます。また、iOSアプリケーションの特徴として、回数やセット数、前後半、表裏、ゲーム数等、野球・ラグビー・テニスで使用する試合の区切り単位が設定できるようになっています。例えば、「3回表」とか「第5セット第3ゲーム」のように設定することが可能です。この値はタギング後、得点タグの場合は[Category03][Category04]に、通常タグの場合は[Category04][Category05]に反映されます。

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スコアモードでテニスタイプを選択

最後の経過時間モードは、ビデオカメラ本体から行うタギングと同じです。タグを付けた時間のみが記録されます。

 

録画・タギング後はメニューからインデックスモードを選択するとビデオカメラに保存されたタグ情報を一覧表示することができます。リストからタグを選択し、該当する映像部分をiPadにダウンロードして映像を再生、さらにiPadのカメラロールにその映像部分を保存することも可能です。

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インデックスモードから映像切り出し

タギングした映像の再生

Windowsアプリケーション、iOSアプリケーションともに、タギングした部分を切り出す方法はご紹介しましたが、長時間録画した映像をタグ情報とともに再生することができるアプリケーションは別途用意されています。Multi View Player (Ver.1.0.0) は最大4画面表示が可能で、オプションの独自無線システムを使用すると、複数台のカメラで 多視点から録画した映像を同時に表示、フォーム分析するようなこともできるようになっています。

 

Multi View Playerで映像を読み込むと、その下にタグリストが表示できます。もちろん、普通に再生することもできますが、そのほかに、タグを利用した再生メニューとして、[1]、[Loop]、[TagPlay]の3種類が用意されています。タグリストから見たいタグを選択してダブルクリックすると、[1]の場合はそのタグ部分を1回だけ再生、[Loop]の場合はそのタグ部分を繰り返し再生、[TagPlay]の場合はそのタグ部分再生後、次のタグ部分再生と、映像のタグ部分のみを連続再生します。映像の切り出しは必要ないという場合、撮影後にこのアプリケーションを利用して、見たいシーンのみを素早く検索、再生することができます。

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Multi View Player

マルチ画面は必要ないという方には、1画面表示のみのTagging Player(Ver.1.0.0)もあります。こちらはタグリストから選択したタグについて、画面右側のタグ内容の表示から修正することが可能です。ただし、[TagPlay]再生メニューがありません。

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Tagging Player

検証の結果

今回、Windows、iOSアプリケーションともに、ダイレクト接続しましたが、iOSアプリケーションのほうがカメラ本体との接続および動作が安定していると感じました。ただ、ダイレクト接続の場合、距離が離れていたり、間に障害物がある場合には、接続が不安定になります。その場合は、アクセスポイント経由で接続するか、パソコンしか使用できませんが、オプションの独自無線システムを利用するほうが良さそうです。

 

検証では20分程度撮影しながらタギングしましたが、SDカードを確認してみると映像ファイル、TAG情報のCSVファイルともに2つのファイルに分かれていました。15分程度の記録時間制限があるのかもしれません。録画設定は60fpsの1920×1080、SDHCカードを使用しました。取扱説明書には、「ハイスピード撮影時、SDXCカード使用時は記録時間が3分に制限される」との記載があります。

 

タグの情報が記録されたCSVファイルは、ダートフィッシュ・ジャパン社のダートフィッシュ・ソフトウェアで読み込むことが可能です。大量のタグが記録されている場合は、このソフトウェアを利用するとタグのフィルタリングができ、複雑な検索も可能になります。タグの修正、追加も可能ですし、ゾーンツールや統計処理機能もあるので、さらに細かいゲーム分析を行うことが可能です。また、今回は使用しませんでしたが、MacアプリケーションにおいてCSVファイルを変換することにより、SportsTec社のSPORTSCODEでの読み込みも可能になるとのことです。

簡単なタグ付けは撮影中にスポーツコーチングカムで素早く済ませて分析し、もっと詳細なデータを取得して分析したいとなったときには、ダートフィッシュ・ソフトウェアやSPORTSCODEを使用するという使い方ができるのではと思いました。

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ダートフィッシュ・ソフトウェアで映像とタグファイルを読み込み

今回はタギング機能にフォーカスしてスポーツコーチングカムをご紹介しました。いかがだったでしょうか。使ってみたいけど、お値段ゆえに手が出ない、タギング機能って実際どこまでできるの? という方にとって有益な情報になったのではないかと思います。この記事を読んで、自分が携わっている現場でこういう風に使えそうだなどと、イメージがわいていただければ幸いです。なお、検証に利用したアプリケーションは現在バージョンアップされている可能性がありますことをご了承ください。

2画面表示 DiTs iPad JEATEC Kinovea LongoMatch NAS SDカード アプリ ウエイトリフティング キノビア キャリブレーション クラウドストレージ ゲーム分析 スタッツ ストレージ スピードスケート スマートデバイス セミナー タグ付け トラッキング トレーニング ビデオカメラ フィードバック モバイルWi-Fiストレージ ロンゴマッチ ワークショップ 保存 保管 分析 分析ソフト 動作分析 動画分析 即時フィードバック 描画 撮影 映像 映像共有 最新機種 残像合成 自動再生 角度 軌跡 軌跡座標 遅延再生

ナレッジルーム

タグ付けできるビデオカメラの実力はいかに?

 

ゲーム分析の実情

8月下旬、 スポーツ科学における映像分析に対応したビデオカメラとして、JVCケンウッドから「スポーツコーチングカム(GC-LJ25B)」が発売されました。複数方向から同時にハイスピード撮影できる特徴を活かし、選手の動作解析用として福岡ソフトバンクホークスがスポーツコーチングカム(GC-LJ20B 株式会社スポーツセンシング社製)を導入すると2015年1月に報道されています。(参考:工藤ソフトB連覇へマル秘カメラ導入

映像分析はもはやスポーツ科学にとって切り離すことのできない重要な要素になっていますね。

 

注)スポーツコーチングカムは株式会社スポーツセンシング(GC-LJ20B)、JVCケンウッド(GC-LJ25B)両社から発売されています。

 

さて、スポーツ科学における映像分析には、動作分析のほかに、ゲーム分析もあります。ゲーム分析は試合での選手やチームのプレーをイベントとして記録し、試合内容や成績状況を数値的に分析することです。通常1試合すべてを撮影し、イベントごとに説明する情報(タグ)を映像ファイルと紐付けて記録します。つまり、ひとつのタグのなかにイベントの説明と映像中の時間をまとめて記録します。このようにタグのなかに映像中の時間を含めて記録しておけば、タグをもとに必要なシーンをすぐに検索・抽出できますし、ゴールシーン集などのプレイリストも簡単に作成できます。しかし、長時間撮影した映像を見ながらイベントごとにタグ付けしていく作業は想像以上に時間がかかりますし、この作業が終わらないと、本来の目的のゲーム分析に進めません。

 

こんなとき、“撮影中に”タグを付けておくことができれば、大幅な時間短縮が期待できます。“撮影中に”タグ付けする方法として、手作業で紙に記録したり、何かツールを利用して記録しておくことが考えられます。しかし、このような方法で記録したタグの時間情報は、映像中の時間と正確に合っているわけではありません。タグをもとに必要なシーンを検索・抽出したいときには、映像中の時間とタグの時間情報を同期させる作業が必要になってしまいます。

“撮影中に”かつ“映像と同期して”タグ付けできれば一番効率がいいですよね。

スポーツコーチングカムでできること

ここでスポーツコーチングカムの登場です。スポーツコーチングカムには“撮影中に”かつ、“映像と同期して”タグ付けできる「タギング機能」がついています。同期作業は必要なく、撮影しながらタグ付けし、撮影後すぐに見たいシーンを探し出すことができます。作業時間が短縮できる分、本来の目的であるゲーム分析に多くの時間を費やすことができます。ビデオカメラで、このタギング機能がある機種は現在のところ、スポーツコーチングカムのみではないでしょうか。

 

もちろん、スポーツコーチングカムにはハイスピード撮影機能もついてますし、他機種にはない特徴として、ハイスピード撮影中のズーム切替やシャッタースピードの変更ができたり、オプションの独自無線システムを利用して複数台のカメラを一括操作することも可能ですが、ここでは、スポーツコーチングカムのタギング機能にフォーカスし、この機能がどのくらい使えるのか、その実力を紹介・検証していきたいと思います。

A-1

コーチングカム本体1

A-2

コーチングカム本体2

なお、ここで検証する機種は都合上、ロジカルプロダクトから発売されている「スポーツコーチングカム(GC-LJ20B)」になります。両製品はブランド名と型番が異なるのみで、製品内容は全く同一のものであるとのことです。

タギング機能の仕組み

タギング機能を使用すると、カメラ側でSDカード内に映像ファイルとは別に、同じファイル名で拡張子が「TAG」のCSV形式ファイルが生成されます。タグ付けすると、イベントの説明と映像中の時間がひとつのタグとして、このTAGファイルに記録されていきます。対応アプリケーションを使用することで、撮影後にタグを利用した映像再生ができ、見たいシーンを素早く検索できます。

タギングの方法

撮影中にタギングする方法として、一番簡単なのがビデオカメラ本体からタギングすることです。録画を開始するとモニターの左下に「TAG」ボタンが表示されますので、タグを付けたい場面でこのボタンを押下します。これだけで簡単にタギングできます。

B-1

録画中のカメラモニター

カメラ本体からのタギングは簡単ですが、タグのなかに時間情報が記録されるだけで、イベントの説明を含めることができません。選手名やプレー内容など、タグのなかにイベントの説明を付けたいときには、Windows, Mac, iOSのいずれかのアプリケーションをカメラ本体に接続し、アプリケーション上からイベントの説明を設定したタグを付けます。

 

ここでは、Windowsアプリケーション(Ver.1.0.2)を使用して実際にタギングしてみました。まずカメラとの接続ですが、注意点として、カメラ本体において撮影速度を通常の60fpsに設定しておくことが重要です。ハイスピード撮影に設定しておくとメニュー画面にWLANのアイコンが表示されません。私はこれにかなり惑わされました。取扱説明書をきちんと読んでおけば問題ないのですが……。 WLANを画面タッチで選択し、続いてダイレクト接続を選択するとSSIDとパスワードが表示されますので、Windowsパソコン側で無線LANの設定を行えば接続できます。このアプリケーションではタグの詳細設定とタギングのほか、録画/停止や撮影速度、フォーカス、シャッタースピード、LEDライトの設定を行うことができます。接続するときは60fpsに設定しておく必要がありますが、接続後に最高の600fpsに設定することも可能です(600fpsの場合、解像度は320×176になります)。

 

タギングはイベントタギング、得点タギング、任意タギングの3種類のモードが用意されています。イベントタギングモードでは1×2の2個から、4×2、9×2、16×2、そして25×2の50個まで、5パターンのタグ表示形式が用意されていて、ひとつのタグに対して、[タグ名][PreRoll(秒)][Duration(秒)][Color][Category01][Category02][Category03][Category04][Category05]が設定できます。PreRollはタグボタンを押下したときから何秒前の映像を使用するか、DurationはPreRollから何秒間の映像を使用するかということです。Colorはアプリケーション上のタグボタンの色です。Category01~05は任意で16文字までの文字列を設定できます。設定が終われば、あとは録画しながら、作成したタグボタンをイベントごとにクリックするだけです。

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イベントタギングモード

対戦型競技のゲーム分析等、得点が絡むタギングには、得点タギングモードが有効です。得点タグが4個、通常タグ8個がチームごとに用意されています。得点タグは何点プラスするかの設定ができ、得点タグをクリックすると、設定した点数がプラスされたあとの両チームの得点が”xx-xx”のように[Category01]フィールドに記録されます。バスケットボールやラグビーなど得点タイプが複数ある場合に4個の得点タグを使い分けると、効率的にタギングできます。得点タグに設定できる点数は[+1]~[+7]、[+10]、[+15]になります。

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得点タギングモード

任意タギングモードでは、タグの設定が入力/変更できる状態で自由に文字列を入力し、タグを付けることができます。試合会場に関する情報、天気、周囲環境など、複数回タギングする必要がない情報を記録しておきたい場合に有用です。

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任意タギングモード

録画・タギング後に、画面左中央の[ストレージ]タブをクリックすると、スポーツコーチングカムに挿入されているSDカードに保存されたタグのリストを一覧表示できます。リストからタグを選択し、[タグ動画保存]ボタンをクリックすると、そのタグに該当する映像部分を切り出してパソコン上に保存できます。録画後、必要なシーンだけをサッと切り出して保存することが可能です。

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[ストレージ]タブでのタグリスト表示

iOSアプリケーション(Ver.1.0.5) を使用してiPadからのタギングも行ってみました。使い方はWindowsアプリケーションとほぼ同じです。iOS側でWi-Fiの設定を行えばダイレクトに接続でき、録画/停止や撮影速度、シャッタースピード、LEDライトの設定変更を行うことができます。フォーカスは設定変更することができません。タギングに関しては、設定項目が若干異なります。Windowsアプリケーションでは[PreRoll(秒)][Duration(秒)]がタグごとに設定できましたが、iOSアプリケーションでは一括設定のみになります。また、タギングのモードは9×2、4×2のモードとスコアモード、経過時間モードが用意されています。

 

9×2、4×2のモードがWindowsアプリケーションでいうイベントタギングモードになります。ただし、こちらではひとつのタグに対して設定できる項目は、[タグ名][Category01][Category02][Category03]までとなります。少し減りますね。

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タグボタン設定画面

スコアモードがWindowsアプリケーションでいう得点タギングモードになります。こちらは得点タグの加点数が自由に設定できない代わりに、汎用、野球、ラグビー、テニスの4つのタイプがメニューから選択できるようになっています。どのタイプも通常タグは3つですが、得点タグの数と加点数が異なります。汎用タイプは+1と+2の2つ、野球タイプは+1~+4の4つ、ラグビータイプは+2、+3、+5の3つ、テニスタイプは15、30、40の3つとなっています。 得点タグは両チームの得点が[Category01][Category02]にそれぞれ記録されます。また、iOSアプリケーションの特徴として、回数やセット数、前後半、表裏、ゲーム数等、野球・ラグビー・テニスで使用する試合の区切り単位が設定できるようになっています。例えば、「3回表」とか「第5セット第3ゲーム」のように設定することが可能です。この値はタギング後、得点タグの場合は[Category03][Category04]に、通常タグの場合は[Category04][Category05]に反映されます。

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スコアモードでテニスタイプを選択

最後の経過時間モードは、ビデオカメラ本体から行うタギングと同じです。タグを付けた時間のみが記録されます。

 

録画・タギング後はメニューからインデックスモードを選択するとビデオカメラに保存されたタグ情報を一覧表示することができます。リストからタグを選択し、該当する映像部分をiPadにダウンロードして映像を再生、さらにiPadのカメラロールにその映像部分を保存することも可能です。

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インデックスモードから映像切り出し

タギングした映像の再生

Windowsアプリケーション、iOSアプリケーションともに、タギングした部分を切り出す方法はご紹介しましたが、長時間録画した映像をタグ情報とともに再生することができるアプリケーションは別途用意されています。Multi View Player (Ver.1.0.0) は最大4画面表示が可能で、オプションの独自無線システムを使用すると、複数台のカメラで 多視点から録画した映像を同時に表示、フォーム分析するようなこともできるようになっています。

 

Multi View Playerで映像を読み込むと、その下にタグリストが表示できます。もちろん、普通に再生することもできますが、そのほかに、タグを利用した再生メニューとして、[1]、[Loop]、[TagPlay]の3種類が用意されています。タグリストから見たいタグを選択してダブルクリックすると、[1]の場合はそのタグ部分を1回だけ再生、[Loop]の場合はそのタグ部分を繰り返し再生、[TagPlay]の場合はそのタグ部分再生後、次のタグ部分再生と、映像のタグ部分のみを連続再生します。映像の切り出しは必要ないという場合、撮影後にこのアプリケーションを利用して、見たいシーンのみを素早く検索、再生することができます。

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Multi View Player

マルチ画面は必要ないという方には、1画面表示のみのTagging Player(Ver.1.0.0)もあります。こちらはタグリストから選択したタグについて、画面右側のタグ内容の表示から修正することが可能です。ただし、[TagPlay]再生メニューがありません。

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Tagging Player

検証の結果

今回、Windows、iOSアプリケーションともに、ダイレクト接続しましたが、iOSアプリケーションのほうがカメラ本体との接続および動作が安定していると感じました。ただ、ダイレクト接続の場合、距離が離れていたり、間に障害物がある場合には、接続が不安定になります。その場合は、アクセスポイント経由で接続するか、パソコンしか使用できませんが、オプションの独自無線システムを利用するほうが良さそうです。

 

検証では20分程度撮影しながらタギングしましたが、SDカードを確認してみると映像ファイル、TAG情報のCSVファイルともに2つのファイルに分かれていました。15分程度の記録時間制限があるのかもしれません。録画設定は60fpsの1920×1080、SDHCカードを使用しました。取扱説明書には、「ハイスピード撮影時、SDXCカード使用時は記録時間が3分に制限される」との記載があります。

 

タグの情報が記録されたCSVファイルは、ダートフィッシュ・ジャパン社のダートフィッシュ・ソフトウェアで読み込むことが可能です。大量のタグが記録されている場合は、このソフトウェアを利用するとタグのフィルタリングができ、複雑な検索も可能になります。タグの修正、追加も可能ですし、ゾーンツールや統計処理機能もあるので、さらに細かいゲーム分析を行うことが可能です。また、今回は使用しませんでしたが、MacアプリケーションにおいてCSVファイルを変換することにより、SportsTec社のSPORTSCODEでの読み込みも可能になるとのことです。

簡単なタグ付けは撮影中にスポーツコーチングカムで素早く済ませて分析し、もっと詳細なデータを取得して分析したいとなったときには、ダートフィッシュ・ソフトウェアやSPORTSCODEを使用するという使い方ができるのではと思いました。

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ダートフィッシュ・ソフトウェアで映像とタグファイルを読み込み

今回はタギング機能にフォーカスしてスポーツコーチングカムをご紹介しました。いかがだったでしょうか。使ってみたいけど、お値段ゆえに手が出ない、タギング機能って実際どこまでできるの? という方にとって有益な情報になったのではないかと思います。この記事を読んで、自分が携わっている現場でこういう風に使えそうだなどと、イメージがわいていただければ幸いです。なお、検証に利用したアプリケーションは現在バージョンアップされている可能性がありますことをご了承ください。

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