ナレッジルーム

撮ってすぐ見る! 映像共有術~スピードスケート編~

 

写真や動画の共有方法

皆さんは、撮影した写真や動画を共有することはありますか? そんなとき、どのような方法で共有するでしょうか。例えばスマートフォンで写真を撮って友達に見せたいとき。今はメールやコミュニケーションアプリで送るのが一般的かと思います。デジカメで撮った写真はどうでしょうか? SDカードに入っている写真をパソコンに取り込んでメールで送る方法などがあります。今挙げた方法は一般的ではありますが、技術の進歩が速い今、写真や動画の共有方法としてもっと手間のかからない技術もぞくぞく開発されています。ファイル共有技術としてネットワークを介した方法が主流になりつつあり、デジカメ等で撮ったものであれば、Wi-Fi機能付きSDカードや、モバイルWi-Fiストレージ、クラウドストレージなどが利用されています。

この共有するという行為は、スポーツの現場でももちろん行われています。主にトレーニングや試合で撮影した映像を共有するのですが、一長一短のある技術を組み合わせて競技特性に合わせた共有システムを確立しているところもあります。今回はそちらを実際にご紹介したいと思います。

 

 

スピードスケートでの活用例

氷上のスピードスターたちがタイムを競う、スピードスケート。スピードスケートでは、撮った映像の共有にもスピードが求められています。撮影した映像(通常の映像とハイスピードの映像)をトレーニング後に確認するのではなく、選手とコーチが即座に閲覧し、その場でトレーニングに活かしたいというニーズがありました。そのためには素早い映像の転送、映像の管理、閲覧環境の整備が課題になっていました。

 

無題

自分の滑りをその場で確認する選手やコーチ

 

トレーニング中、コース外からカメラで選手を撮影していますが、もちろんその時々によって撮影のニーズが異なります。1人の選手が滑る様子を追うこともあれば、決まった区間を次々と滑ってくる選手を順番に撮影していくこともあります。どの場合でも、選手はすぐに自分の滑りを確認したいと思っています。各選手の撮影を繰り返し行いますが、次の撮影が始まっていることもあるため、滑り終わった選手にカメラを渡すこともできませんし、SDカードに入っているデータをパソコンに移すにしても、誰の映像なのか、整頓する時間が無いときもあります。

また、場合によってはカメラの設置が1台しかできず、スタッフも1人のみという状況があります。1人で撮影し、データを移し、選手ごとに仕分ける…これには限界があります。そのため、時間と手間の短縮が必要とされていました。

そこで、JISSでは、

・カメラで撮った映像を即時にパソコンに送り、

・パソコンで誰の映像かファイル分けし、

・滑り終わった選手がタブレットですぐに映像を見る

というシステムを考えました。

 

このシステムを作るうえでのポイントは、既存の技術を組み合わせて最適な環境を作ることでした。基本的には既存の技術を使い、橋渡しの部分など足りないところは独自開発のソフトウェアを使っています。一連の作業をすべてカバーするようなシステムを作ることもできますが、それよりも足りない部分を補うだけの、ピンポイントのソフトウェアを開発するだけで、労力やコストを抑えることができるからです。

今は技術の革新も目覚ましいです。独自のシステムだけに頼るよりも、既存の技術を十分に使い、取り入れる方が、効率的なのです。

 

まずは映像を転送

まずは、撮った映像をすぐにパソコンに送ります。

一番単純な方法としては、直接SDカードを挿してコピーする方法があります。この方法だとコピーするのに時間はかかりませんが、パソコンでの操作が必要で多少の手間がありました。さらに複数選手の映像を撮影するとなると、ファイルは多くなります。転送する際に、どの映像を送っていなかったか、などの選別はさらに手間になっていました。そこでJISSでは独自ソフトウェア「SDCopier」を開発しました。SDカードをPCに挿すだけで、まだパソコンにコピーしていないファイルをファイル名から判断し、自動的に指定のフォルダにコピーを行います。コピーを行うということだけに特化したソフトウェアですが、コピー時の手間をかなり省くことができます。

Wi-Fi機能付きSDカードで転送する方法もあります。SDカード自体がWi-Fiの機能を持っており、パソコンとSDカードが接続されていれば、未転送のファイルを自動的に転送することができます。このSDカードであれば、物理的な手間はかなり省くことはできますが、ネットワークを介するために転送に時間がかかってしまうデメリットがあります。

現在ではデータ転送技術の発展にともない、高速無線転送をうたう製品も出ています。それがTransferJetです。SDカードの抜き挿しを伴わない転送方法としては、Wi-Fi機能のついたSDカードと変わりはなく、数センチの距離しか届かないという欠点はありますが、ネットワークの構築が必要なWi-Fi機能つきSDカードに対し、TransferJetは対応SDカードを専用アダプタにかざすだけで従来のWi-Fi機能付きSDカードの数倍から数十倍以上の速さで転送を行うことができます。イメージとしては、電子マネーやICカードのイメージでしょうか。複雑な設定が必要だったり、他のネットワーク環境に左右されたりということがありません。かざして待つだけで、映像をPCからタブレットのように一方通行ではなく、対応するデバイスの双方向に送ることができます。さらに近年では、SDカード、パソコン、iPhone、タブレットそれぞれに対応したアダプタが用意されていますので、所持するデバイスや用途によって使い分けることができます。

SDカードから直接転送、Wi-Fi機能付きSDカード、TransferJetと、転送の方法だけでも様々な方法が出てきました。スピードスケートでも、サポートを行う人数、選手やコーチからの要望、トレーニングする場所などその時々の状況によって、これらの方法を使い分けています。

 

IMAG5488-1

様々な機器に対応したTransferJet

 

 

仕分けと閲覧

コピーされた映像はファイルごとに仕分ける必要がありました。というのも、ビデオカメラで撮影した映像は機械的に既定のファイル名が付けられてしまうので、SDCopierやTransferJetでコピーしただけの段階では、どのファイルが誰の映像なのかは実際に中身を見ないと判断ができません。それでは目的の映像をすぐに探し出すことはできません。そこで、今度は「FileMove」というソフトウェアを開発しました。映像にタグ付けし、選手別のフォルダへ自動で仕分けます。

まず撮影者は選手を撮影します。撮影後、FileMoveにおいて、撮影した選手名のボタンを押してタグ付けを行います。映像のコピーが指定のフォルダに行われた時点で、FileMove内に映像名のリストが表示されます。コピーされた映像ファイルのリストとタグ付けされた撮影リストを利用して、コピーした映像が選手ごとのフォルダに自動的に仕分けられるのです。何個もあるファイルの中から目星をつけて自分の映像を探したり、手作業で個人フォルダに分けるよりも、格段に早く仕分けることができます。

 

IMAG5490-1

FileMove。画面左のボタンで選択すると、ボタンを押した順にリストが生成される。 そのリストを基に右のようにフォルダ分けすることができる。

 

 

仕分けることができたので、あとは選手やコーチが閲覧します。映像の閲覧・配信には、AirVideoを利用しています。AirVideoは、パソコンにAirVideo Server、iPadにAirVideoアプリをインストールすることで、パソコンにある映像をiPadでストリーミング再生できるシステムです。ネットワークでの接続が必要ですが、映像をダウンロードして再生するより時間もかからず、多くの映像を気軽に見ることができます。

実際には、これと先ほどのFileMoveを利用することで、同時に3~4人の選手がタブレット等を用いて、パソコンの別々のフォルダ(自分の映像が保存されているフォルダ)にアクセスして、映像を確認しています。もちろん、トレーニング後に見ることもできますし、管理もしやすくなりました。

 

 

身近な技術を組み合わせて

今回紹介したスピードスケートの現場では、リンクサイドで撮影した映像を選手とコーチが即座に閲覧・確認ができる環境が欲しい、というニーズがありました。競技特有の閲覧のタイミングに対応し、映像は選手別で振り分け、タブレットなど手軽な方法で閲覧できる環境が必要でした。JISSでは大きなシステムを作るのではなく、どの競技でも対応できるよう、既存の技術を最大限活かし、その間を埋めるようなソフトウェアの開発を行い、サポートの体制を作りました。

それぞれ重要になるポイントは違えど、このようなニーズはどの競技現場でもあると思います。今回紹介したスピードスケートの現場では、より流れがスムーズになるように開発した部分もありますが、個々の技術はどれも汎用的な方法です。開発したソフトウェアも簡易的なもので、決して難しいことをしているわけではありません。もちろんこれは一例ではありますが、こういった技術を使って、みなさんもより効率的に映像を共有し、トレーニングに活かす参考にしてみてください。

2画面表示 DiTs iPad JEATEC Kinovea LongoMatch NAS SDカード アプリ ウエイトリフティング キノビア キャリブレーション クラウドストレージ ゲーム分析 スタッツ ストレージ スピードスケート スマートデバイス セミナー タグ付け トラッキング トレーニング ビデオカメラ フィードバック モバイルWi-Fiストレージ ロンゴマッチ ワークショップ 保存 保管 分析 分析ソフト 動作分析 動画分析 即時フィードバック 描画 撮影 映像 映像共有 最新機種 残像合成 自動再生 角度 軌跡 軌跡座標 遅延再生

ナレッジルーム

撮ってすぐ見る! 映像共有術~スピードスケート編~

 

写真や動画の共有方法

皆さんは、撮影した写真や動画を共有することはありますか? そんなとき、どのような方法で共有するでしょうか。例えばスマートフォンで写真を撮って友達に見せたいとき。今はメールやコミュニケーションアプリで送るのが一般的かと思います。デジカメで撮った写真はどうでしょうか? SDカードに入っている写真をパソコンに取り込んでメールで送る方法などがあります。今挙げた方法は一般的ではありますが、技術の進歩が速い今、写真や動画の共有方法としてもっと手間のかからない技術もぞくぞく開発されています。ファイル共有技術としてネットワークを介した方法が主流になりつつあり、デジカメ等で撮ったものであれば、Wi-Fi機能付きSDカードや、モバイルWi-Fiストレージ、クラウドストレージなどが利用されています。

この共有するという行為は、スポーツの現場でももちろん行われています。主にトレーニングや試合で撮影した映像を共有するのですが、一長一短のある技術を組み合わせて競技特性に合わせた共有システムを確立しているところもあります。今回はそちらを実際にご紹介したいと思います。

 

 

スピードスケートでの活用例

氷上のスピードスターたちがタイムを競う、スピードスケート。スピードスケートでは、撮った映像の共有にもスピードが求められています。撮影した映像(通常の映像とハイスピードの映像)をトレーニング後に確認するのではなく、選手とコーチが即座に閲覧し、その場でトレーニングに活かしたいというニーズがありました。そのためには素早い映像の転送、映像の管理、閲覧環境の整備が課題になっていました。

 

無題

自分の滑りをその場で確認する選手やコーチ

 

トレーニング中、コース外からカメラで選手を撮影していますが、もちろんその時々によって撮影のニーズが異なります。1人の選手が滑る様子を追うこともあれば、決まった区間を次々と滑ってくる選手を順番に撮影していくこともあります。どの場合でも、選手はすぐに自分の滑りを確認したいと思っています。各選手の撮影を繰り返し行いますが、次の撮影が始まっていることもあるため、滑り終わった選手にカメラを渡すこともできませんし、SDカードに入っているデータをパソコンに移すにしても、誰の映像なのか、整頓する時間が無いときもあります。

また、場合によってはカメラの設置が1台しかできず、スタッフも1人のみという状況があります。1人で撮影し、データを移し、選手ごとに仕分ける…これには限界があります。そのため、時間と手間の短縮が必要とされていました。

そこで、JISSでは、

・カメラで撮った映像を即時にパソコンに送り、

・パソコンで誰の映像かファイル分けし、

・滑り終わった選手がタブレットですぐに映像を見る

というシステムを考えました。

 

このシステムを作るうえでのポイントは、既存の技術を組み合わせて最適な環境を作ることでした。基本的には既存の技術を使い、橋渡しの部分など足りないところは独自開発のソフトウェアを使っています。一連の作業をすべてカバーするようなシステムを作ることもできますが、それよりも足りない部分を補うだけの、ピンポイントのソフトウェアを開発するだけで、労力やコストを抑えることができるからです。

今は技術の革新も目覚ましいです。独自のシステムだけに頼るよりも、既存の技術を十分に使い、取り入れる方が、効率的なのです。

 

まずは映像を転送

まずは、撮った映像をすぐにパソコンに送ります。

一番単純な方法としては、直接SDカードを挿してコピーする方法があります。この方法だとコピーするのに時間はかかりませんが、パソコンでの操作が必要で多少の手間がありました。さらに複数選手の映像を撮影するとなると、ファイルは多くなります。転送する際に、どの映像を送っていなかったか、などの選別はさらに手間になっていました。そこでJISSでは独自ソフトウェア「SDCopier」を開発しました。SDカードをPCに挿すだけで、まだパソコンにコピーしていないファイルをファイル名から判断し、自動的に指定のフォルダにコピーを行います。コピーを行うということだけに特化したソフトウェアですが、コピー時の手間をかなり省くことができます。

Wi-Fi機能付きSDカードで転送する方法もあります。SDカード自体がWi-Fiの機能を持っており、パソコンとSDカードが接続されていれば、未転送のファイルを自動的に転送することができます。このSDカードであれば、物理的な手間はかなり省くことはできますが、ネットワークを介するために転送に時間がかかってしまうデメリットがあります。

現在ではデータ転送技術の発展にともない、高速無線転送をうたう製品も出ています。それがTransferJetです。SDカードの抜き挿しを伴わない転送方法としては、Wi-Fi機能のついたSDカードと変わりはなく、数センチの距離しか届かないという欠点はありますが、ネットワークの構築が必要なWi-Fi機能つきSDカードに対し、TransferJetは対応SDカードを専用アダプタにかざすだけで従来のWi-Fi機能付きSDカードの数倍から数十倍以上の速さで転送を行うことができます。イメージとしては、電子マネーやICカードのイメージでしょうか。複雑な設定が必要だったり、他のネットワーク環境に左右されたりということがありません。かざして待つだけで、映像をPCからタブレットのように一方通行ではなく、対応するデバイスの双方向に送ることができます。さらに近年では、SDカード、パソコン、iPhone、タブレットそれぞれに対応したアダプタが用意されていますので、所持するデバイスや用途によって使い分けることができます。

SDカードから直接転送、Wi-Fi機能付きSDカード、TransferJetと、転送の方法だけでも様々な方法が出てきました。スピードスケートでも、サポートを行う人数、選手やコーチからの要望、トレーニングする場所などその時々の状況によって、これらの方法を使い分けています。

 

IMAG5488-1

様々な機器に対応したTransferJet

 

 

仕分けと閲覧

コピーされた映像はファイルごとに仕分ける必要がありました。というのも、ビデオカメラで撮影した映像は機械的に既定のファイル名が付けられてしまうので、SDCopierやTransferJetでコピーしただけの段階では、どのファイルが誰の映像なのかは実際に中身を見ないと判断ができません。それでは目的の映像をすぐに探し出すことはできません。そこで、今度は「FileMove」というソフトウェアを開発しました。映像にタグ付けし、選手別のフォルダへ自動で仕分けます。

まず撮影者は選手を撮影します。撮影後、FileMoveにおいて、撮影した選手名のボタンを押してタグ付けを行います。映像のコピーが指定のフォルダに行われた時点で、FileMove内に映像名のリストが表示されます。コピーされた映像ファイルのリストとタグ付けされた撮影リストを利用して、コピーした映像が選手ごとのフォルダに自動的に仕分けられるのです。何個もあるファイルの中から目星をつけて自分の映像を探したり、手作業で個人フォルダに分けるよりも、格段に早く仕分けることができます。

 

IMAG5490-1

FileMove。画面左のボタンで選択すると、ボタンを押した順にリストが生成される。 そのリストを基に右のようにフォルダ分けすることができる。

 

 

仕分けることができたので、あとは選手やコーチが閲覧します。映像の閲覧・配信には、AirVideoを利用しています。AirVideoは、パソコンにAirVideo Server、iPadにAirVideoアプリをインストールすることで、パソコンにある映像をiPadでストリーミング再生できるシステムです。ネットワークでの接続が必要ですが、映像をダウンロードして再生するより時間もかからず、多くの映像を気軽に見ることができます。

実際には、これと先ほどのFileMoveを利用することで、同時に3~4人の選手がタブレット等を用いて、パソコンの別々のフォルダ(自分の映像が保存されているフォルダ)にアクセスして、映像を確認しています。もちろん、トレーニング後に見ることもできますし、管理もしやすくなりました。

 

 

身近な技術を組み合わせて

今回紹介したスピードスケートの現場では、リンクサイドで撮影した映像を選手とコーチが即座に閲覧・確認ができる環境が欲しい、というニーズがありました。競技特有の閲覧のタイミングに対応し、映像は選手別で振り分け、タブレットなど手軽な方法で閲覧できる環境が必要でした。JISSでは大きなシステムを作るのではなく、どの競技でも対応できるよう、既存の技術を最大限活かし、その間を埋めるようなソフトウェアの開発を行い、サポートの体制を作りました。

それぞれ重要になるポイントは違えど、このようなニーズはどの競技現場でもあると思います。今回紹介したスピードスケートの現場では、より流れがスムーズになるように開発した部分もありますが、個々の技術はどれも汎用的な方法です。開発したソフトウェアも簡易的なもので、決して難しいことをしているわけではありません。もちろんこれは一例ではありますが、こういった技術を使って、みなさんもより効率的に映像を共有し、トレーニングに活かす参考にしてみてください。

Top